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検査データの改ざん防止とコンプライアンス戦略(第2回)

株式会社ティ・エフ・マネジメント
代表取締役 門間 清秀

前回の、材料等の試験報告書データの評価プロセスの要求事項であるAS/EN/JIS Q 9100:2016の要求事項に引き続いて、今回は、日本航空業界としての取組みであるSJAC 9068Aについて紹介します。

日本航空規格 SJAC 9068A は、“品質マネジメントシステム―航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項―強固なQMS構築のためのJIS Q 9100補足事項”です。SJAC 9068の制定の背景は、日本の航空宇宙産業界で発生した品質に関わる事案(不正)に鑑み、業界全体に渡り適用できる再発防止策及びQMSを強固にするための方策を検討するために制定されました。(2013年制定 2016年改訂版A改訂発行)

主要改善のポイントは、下記の3項目です。
・品質意識:JIS Q 9100:2016 8.1.3「製品安全」に加え、品質に関連する「コンプライアンス」意識の再徹底
・コミュニケーションと問題解決:「現場」の声に耳を傾けた問題解決
・AQMS*1プロセス:顧客・製品最終使用者への影響が大きい、流出不適合防止の強化のためのしくみつくりとAQMSプロセスの改善

*1 AQMS:Aerospace Quality Management System

“品質意識”については、自社の設計あるいは製造している部品等の最終製品の位置づけを、実物等を見学、使われ方を理解して、モチベーション、及びコンプライアンス遵守(図面、作業手順書等の遵守)の意識を高めて、業務を遂行していくことです。

“コミュニケーションと問題解決”については、経営者、管理者が「現場の声」に耳を傾けて、組織一体となって問題解決につなげることです。日本文化の貴重な慣習の実践を通して、コンプライアンス遵守の企業文化を構築、改善・改革・継承することです。

“AQMSプロセスの改善”は、法令・規制要求事項を把握し、周知することでのコンプライアンスの確保、不適合管理プロセスの強化、不祥事原因のパターンを知って対処、供給者への「品質管理仕様書」での追加要求、安全に影響する重大な不適合、重大なヒヤリハット等に対する臨時内部監査等です。しかし、結構難しいものがあります。

なお、不適合管理プロセスの強化に関しては、米国GE-Aviationの供給者へのQMS要求事項S-1000*2 が参考になります。S-1000の全ページの45%は、不適合品処理に関する規定事項です。不適合は起こりうることであり、それを確実に“文書化・記録化”して、確実に技術判定するAQMSプロセスアプローチです。

*2  S-1000:GE-Aviation Quality System Requirements for Suppliers

いずれにしましてもどのように対処をするかは、自社の状況を勘案し、SJAC 9068Aを参考にして地道な風土づくりしかありません。