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航空機産業で活躍を目指す企業に向けた初歩の初歩(航空機事業者への道)

横井経営技術研究所 代表
一般社団法人 航空宇宙産業支援機構(ASISA) 代表理事
横井圭一

 前回は、航空機産業に参入するに当たっての参入メリットについてお話ししました。今回は、航空機産業にはどのような分野があるか、またそこで求められているプレイヤーについてお話ししたいと思います。航空機産業は航空機製造事業であり、この他に航空産業として運航サポート事業(MRO等)や航空機運航事業(エアライン)があります。

航空機産業すなわち航空機製造事業に関しても製造対象が機体、エンジン、装備品と大きく3分野に区分されます。それぞれの分野で特徴がありますが、ここでは機体分野にフォーカスして話を進めて行きます。

機体分野でよく話題にあがるのが機体の構造部品加工があります。代表的な材料としてアルミニウム、チタン、複合材(CFRP、GFRP)があります。ワークの大きさも数ミリのものから何十メーターのものまで様々です。また形状も丸棒から加工されたもの、プレート材や型材から加工されたものまで種々あります。1機あたり部品点数も機種により色々です。例えば、三菱航空機が開発中のリージョナルジェットMRJではその数は、100万個/機と言われています。ボーイング社の大型旅客機B777では300万個/機とも言われています。

また、アルミニウムやチタンといった金属部品の加工方法として主なものは板金加工や機械加工があります。部品加工の製造工程としては、材料の購入、切断、加工、表面処理/塗装といった流れが一般的です。これ以外に熱処理、ショットピーニング、非破壊検査などの特殊工程があります。

航空機事業者になるとは、これらの製造工程を受け持つことになります。どの工程も完成部品を作るには必要なものであり、自社が保有する設備や製造技術によりどのパートを受け持てるのかが最初の一歩と言えます。さらに、航空機に特有な品質保証が必要になります。

現在では、川下企業は製造工程の一部を請け負うのではなく、全ての作業工程を行える、いわゆる一貫生産ができる企業を望んでいます。全国各地で形成されているクラスターはその受け皿になるためには、前述した製造工程のみでなく、プランニングや治具設計及び製造なども必要になり、さらにITを活用した生産管理および品質管理の機能も必要になってきます。

最近では海外販路のセミナーや海外企業とのマッチング等、海外販路に関連する支援が行われています。ここで実際の海外企業から日本企業への発注例を紹介します。ボーイング社やエアバス社のTier1サプライヤーでは、B737、A320、B787等の部品をいくつかにパッケージ化し、一貫生産が行える企業に見積依頼をしています。1つのパッケージに百以上の部品アイテムがあり、年間数万個の個数です。実際に一貫生産が行える状況にあれば、クラスターで仕事を受注する事も可能です。製造工程の部分的な工程であれば、一貫生産をまとめている中核企業から受注することが1つの道です。

自社がどのような事業戦略で航空機事業に参入していくかが重要となります。クラスターの一員として事業を行って行くのか、単独企業として事業化して行くのか、いずれにしても航空機事業のロードマップを持つことをお勧めします。ロードマップを持つ事により参入までに必要な事項を計画的に実施でき、参入後のあり姿を見据えて事業化できるメリットがあると思います。

参考までに航空機事業者への道を模式化した図を示します。全国航空機クラスター・ネットワークの支援策を活用するのも1つの方策と思います。自社が進みたい道をしっかりと検討されることが肝要かと思います。

説明図