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航空機産業で活躍を目指す企業に向けた初歩の初歩(ロードマップ)

横井経営技術研究所 代表
一般社団法人 航空宇宙産業支援機構(ASISA) 代表理事
横井圭一

前回は、航空機事業者への道についてお話ししました。その中で自社がどのような事業戦略で航空機事業に参入していくかが重要であるともお伝えしました。今回は、航空機事業に参入するにあたり指針とするロードマップについてお話ししたいと思います。ロードマップとは所謂、行程表です。航空機事業に参入する行程表と考えて頂ければいいと思います。

ロードマップを作成する前に、社長はなぜ航空機事業に参入しようとしているのか今一度自問して頂きたいと思います。航空機事業への参入目的が明確であれば、ロードマップも活かせるものとなります。目的が明確でない場合は、ロードマップの作成が難しくなります。機体メーカーやエンジンメーカーは5年、10年、それ以上の時間軸で航空機事業を検討しています。余談ではありますが私が若手技術者であった頃、30年後の航空機技術がどのようになっているか検討した事があります。当時はその頃にはもう定年して在籍していないなあと思いつつ検討した事を覚えています。

航空機事業の参入目的が明確になったところで、ロードマップの検討を行います。航空機事業参入へのロードマップとは、現状から航空機事業の受注に至るまでの道のりをどのように段階を経ていくかを見える化したものです。いろいろな業種からの参入が想定されますが、最低限検討しなければならない実施項目を順次説明していきます。

まずは、航空機事業に関する情報収集が必要となります。情報収集の方法として、航空関連のセミナーへの参加、航空関連の展示会への参加(今年はパリエアーショーが開催されます)、個別相談会や商談会への参加等が一般的に可能な方法です。また、専門家からアドバイスを貰うのもいいかもしれません。ただ、注意しなければならないことは、自社の参入目的に沿った情報を収集し、分析することです。セミナーにしても講師の出身母体により、機体部品加工の話を前提にしていたり、航空エンジンの部品加工を前提としていたりします。航空機事業と一言でいっても分野により個々の事業特性を有しています。これらを混同してしまうと経営判断を間違えることにもなりかねません。

入手した情報と自社の目指す方向から航空機事業の事業分野を絞り込んでいきます。例えば製造業の場合、航空機の機体部品の加工を狙うのか、航空エンジン部品の加工を狙うか、装備品の部品加工を狙うのかといった具合です。

ところでSWOT分析をご存知ですか。自社に関する内部環境と外部環境を分析し、事業戦略を策定する分析ツールです。内部環境では自社の強みと弱みを明確にし、外部環境では市場の機会と自社の事業の脅威を把握するものです。航空機事業への参入に関しては、自社の強みを市場の機会に結び付ける事業戦略を策定することが望ましいです。

そのためには、自社の経営資源の棚卸が必要であり、製造業では特に自社技術の特長を把握することが必要になります。また、自社の取引先企業や金融機関、支援団体等の業務上の関連先をビジネスマップとしてまとめ、営業戦略に活かすことも必要になります。

JIS Q 9100の認証取得も検討しておくことが肝要です。一旦、航空機事故が起きると社会への影響は甚大です。そのため、航空機には厳しい品質要求が課せられています。その最初の関門がJIS Q 9100です。航空機設計においては10-9以下の故障率が要求されます。そういった部品加工を行うため、品質保証はしっかりと行うことが必然となります。

以上のことをまとめたものをロードマップの例として載せておきます。もちろん、ロードマップは各社各様ですので、自社でしっかりと検討され、ロードマップを作成したのち、実施項目を1つ1つ着実に実行していくことが航空機事業者への近道と考えます。