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【コラム】航空機産業の将来

グローバル・ネットワーク協議会 グローバル・コーディネーター
文科省COIプログラム ビジョン3 ビジョナリーチームメンバー 
浅倉眞司

昨今の世の中が変化する速度には目を見張るものがあります。これまでの常識は明日の非常識となる速さに驚かされます。それを支えるのは技術の進歩であり、人間の新たな発想でしょう。今、世の中では自動車産業界でEV化がこれまでの常識を大きく覆すべく着実に進んでいます。中国やヨーロッパの動向を見て日本の自動車産業もやっと真剣に受け止め始めたのは最近のことです。

歴史的に見てすべてのことに大変保守的であった航空業界を見たとき、業界の皆様は航空機の電動化・デジタル化などはまだまだ先のことと思われていると思います。果たしてそうでしょうか?今、航空機の電動化に関しては驚くべきことが現実に起こっています。

超小型機ではドローンを大型化したようなCityAirbusと呼ばれるエアータクシーをAirbusが開発を進めており、既に技術実証のための飛行は完了、今年フルサイズの試作機を作り2023年の市場導入を目指しています。

小型機ではスロベニアにある軽飛行機メーカーのPipistrel社が2人乗りの電動飛行機の型式証明を取得、今年の1月10日に量産開始と報じています。

一方、商用中型旅客機ではヨーロッパでAirbus社, Rolls-Royce社とSiemens社は共同でE-Fan X というBAE146をベースのハイブリッド航空機を試作、2020年に試験飛行することを目標にして開発しています。これは原型機の4つのジェットエンジンのうち一つを電動化して700kWのリチウムイオンバッテリーと2MWの電動モーターと置き換えるハイブリッド機です。また、アメリカではBoeing社、Jet Blue社とZunum Aero社との間で10~50人乗りの中型旅客機を2020年代初期に投入すべく開発を進めています。この他にアメリカのWright Electric社などもその研究開発を進めています。

航空機の電動化ではまずはハイブリッドからの市場導入となる可能性が高く、自動車業界のEV化の波を受け、その副産物であるバッテリーやモーターのPower Density向上が進むにつれてオール電化の飛行機の市場導入加速されていくことになるでしょう。

GoogleやAmazonがインターネットを含むIT技術をもとに、新しいビジネスモデルでこれまでのビジネスをひっくり返して今日に至ってきたのは皆様ご承知の通りです。自動車産業の電池、モーターやパワーエレクトロニクスの技術がEV化の加速と共に成長・進化し、あっという間に航空機の電動化に寄与する“Enabling Technology”になるであろうことは決して夢物語ではないと思います。この流れを進める最も大きな原動力は、航空交通における二酸化炭素排出の低減又は廃止による地球環境への配慮でしょう。この流れは皆さんが止めることが出来ません。しかし皆さんは日本の素晴らしい技術でそれを先取ることが出来るのです。